推しに振り回されながら、楽しかったり辛かったりすることを書いてゆくよ。
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平成27年12月18日10時ごろ。
彼の運命は大きく変わった。
慣れないようなことをすると、悪い結果になるとよく言うが、この日はまさにそれだった。
朝起きで唐突に、「今日は天気がいいから布団を干そう」と思った。
お布団を干す時間は10時から3時ぐらいまでがベストと何かの情報番組でやっていたのを思い出し、今いい時間じゃん!と若干テンション高めだった。
1ヶ月に天気のいい日が何日かあっても、この気分と上手く合致する日はそんなにない。
でも、昨日はそれぐらい気分も天気もよかった。
重たい敷布団を畳んでベランダまで運んで、意気揚々と干す。
そのとき、下の駐車場で物音が2回した。
ちょうどその時間、母が出かけようとしていたので、その音かなぁとか暢気に思っていた。
そして、下を見た。何の気なしに見た。
見慣れないものが駐車場に落ちている。
「ん?何だ?」最初は何なのかよくわからなかった。
1つは枕だった。これはまぁ、落ちてもなんの支障もないからいい。
もう1つは、部屋にあるはずのスマートフォンだった。
見慣れた白いボディが、はるか下の方に落ちている。
わけもわからず、私は駆け出した。「スマホ―!」と叫びながら階段を駆け降りた。
玄関のドアを勢いよく開け放ち、彼に駆け寄る。
コンクリートに叩きつけられた彼の体は、ひび割れ、見るも無残な姿になっていた。
例えるなら、高速で飛んできた弾丸を受け止めた防弾ガラスのように。
それから、すぐに携帯ショップへ行ったりして、彼の延命を試みたが、当然の如く無理だった。
画面はつくが、上半分がタッチしても全く反応しない。
ロック画面のパターンを解除できず、彼はいつまでも同じ画面を映し続けた。
それに加え、ケーブルを繋げる部分の損傷がひどくデータを移行することは必然的に不可能。
上半身不随の彼が、今できることは、時計を表示することと写真を撮ることと掛かって来た電話を受けることだけだった。
保障サービスには加入していたので、同じ型の機種を送ってもらうことにした。
到着は日曜日。彼はその日まで私の家で過ごすことになった。
重傷を負っているにも関わらず、彼は今までの仕事を一生懸命こなそうとした。
見れないメールをせっせと受信して、ついったのリプや最新ニュースを通知してくれる。
受信してしまったメールはどう頑張っても今後見ることはできないので、私は受信しないように電源を切ろうとした。
でも、出来なかった。電源を落としてしまったらこんなにも頑張ってくれている彼を殺してしまうような気がして。
こんなにも健気に尽くしてくれている彼を、冷たく捨てしまうような気がして。
全部私の不注意だった。布団に挟まっていた彼に気付けなかったのは私なのに。
私のせいで壊れてしまった彼を、私の都合で捨ててしまうのはとても可哀想な気がした。
適度に充電と言う名のご飯をあげつつ、その夜は眠りについた。
翌朝、彼は、いつもの決まった時間に、V6の「ROCK YOUR SOUL」を一生懸命鳴らして私を起こしてくれた。
その姿がまた健気過ぎる。ボロボロの体で。もういいよ・・。
ほとんど時計の機能しかない彼を連れて昼食を食べに行き、家に帰って来てから電源を落とした。
これでやっと彼も静かに眠ることができるだろう。
本体はなくなってしまっても、使える部品はまた違う製品に使われて蘇ることができるだろう。
次は、私みたいなあほな女じゃなくて、もっと大切にしてくれる人に出会えるといいね。
今度うちに来る子は、同じような目にはあわせないようにするから。
本当にごめんね。
短い間だったけど、ありがとう。
携帯には昔からアニミズム的な愛着が湧く。
今回は本当にごめんねの気持ちが強かったので、こんな形で書いてみた。
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